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かんてい通信 第012号 題名:不動産鑑定士・・・「刑事の顔」と「予想屋の顔」

 いよいよ、「リニア中央新幹線」が現実のものとなりつつあります。正式には、単に『中央新幹線(ちゅうおうしんかんせん)』と呼ばれ、東京都から大阪市に至る新幹線の整備計画路線のことです。
  2011年5月26日に整備計画が決定され、営業主体及び建設主体に指名されていた東海旅客鉄道(JR東海)が建設を行うこととなり、2014年度中の着工を予定しています。高速輸送目的のため、直線的なルートが採用され、最高設計速度505km/hの高速走行が可能な超電導磁気浮上式リニアモーターカー(ジェイアール式マグレブ)により建設されます。首都圏 - 中京圏間で2027年の先行開業を目指しており、東京 - 名古屋間を最速40分で結ぶ予定です。東京都 - 大阪市の全線開業は2045年の予定で、東京 - 大阪間を最速67分で結ぶと試算されています。
 2011年6月7日には、東京・名古屋間のルート及び駅位置の概略が発表され、東京都内は品川駅、神奈川県は相模原市緑区又は中央区内、山梨県は峡中地域、岐阜県は中津川市西部、愛知県は名古屋駅に駅が設置される予定で、長野県については、2011年8月5日に、高森町・飯田市北部に駅を設置する予定と追加で発表されました。
 名古屋以西については、いわゆる「奈良ル−ト」と「京都ル−ト」2路線についての論議が浮上していますが、基本計画当初より「奈良市附近」が経由地となることが計画されているため、JR東海は駅の設置場所について「奈良、生駒、大和郡山、天理の各市と周辺市町を含む範囲」を想定しているようです。なお、「奈良市付近」とあるだけなので、奈良市に隣接する京都府南部を経由することは否定されていない点がやや混乱を生んでいます。最新の情報では、2012年2月6日に、山田啓二・京都府知事が京都を通るほうが日本にとって経済効果が高く、国とJR東海に再考を促すことを記者会見で発表しました。
 このように、国家的なプロジェクトである「リニア新幹線」の駅が、我が町へ来るか来ないかは、該当する自治体にとっては大問題であって、それはまた、該当エリアの不動産価値の大幅な上昇を誘因することとなります。
  筆者も上越新幹線の「燕三条」駅が出来る前に、以前勤務していた鑑定事務所が用地買収の予算取り試算の目的での鑑定評価を受注した関係で、現地調査をした経験がありますが、この原稿を書くにあたって、あらためてGoogleマップで航空写真を見たところ、現在の「燕三条駅」前周辺には、ホテルやス−パ−のほか北陸自動車道のインタ−等が所在しており、確か当時(昭和56年頃)は、一面のどかな農地が広がっていた記憶も思い起こされて、隔世の感がしました。
  当時この評価作業をしている時に、過去の土地取引事例分析中心の評価手法では対応しきれない、将来に対する実証的な予測分析の手法や、過去における同様なケ−スの追跡事例といった、日頃、目にしない分析資料の収集やノウハウの蓄積が我々の業界でも必要不可欠なんだなと実感したことが思い起こされました。
 また、以前友人と話をしていた時、我々不動産鑑定士というのは、『刑事の顔』と『予想屋の顔』を持つ・・・、という話題になったことも思い出しました。
 つまり、過去のデ−タを実証的に積み上げて不動産の価値に関する結論を導くといった行為は、いわば『刑事の顔』ですが、将来の予測を踏まえた不動産の価値を査定し、それを現在価値に置き直す等の行為(具体的には「宅地見込地の評価」や「DCF」を使った収益還元法等々)は、ある種『予想屋の顔』と言えないこともありません。
 予想屋といっても、競馬の予想屋レベルから、シンクタンクのように、高度な情報分析に基づいて将来予測を組織的に行うレベルのものまで様々です。 ただし、『予想屋の顔』の中には、根拠が希薄で安直な予測や、恣意的で過大な将来性への見積といった、してはならない無責任な行為も内在していることを、我々不動産鑑定士は戒めて行かなくてはならないなと思う昨今です。

2012.2.25(執筆者:不動産鑑定士 木下幸生)

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