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かんてい通信

かんてい通信 第020号 題名:「スパコン」と不動産の鑑定評価作業

 ス−パ−コンピュ−タ−『京(けい)』が、いよいよ共用を開始しました。「京」は文部科学省の次世代ス−パ−コンピュ−タ−計画の一環として、理化学研究所と富士通が共同で開発し、2012年7月に完成、同年9月に共用が開始されました。名称の由来は、計算速度が毎秒1京回のためで、開発中の2011年6月および2011年11月に、2期連続で世界ランンキング1位となりました。その後2012年6月にはIBMの「セコイア」に抜かれ2位となりましたが、 特筆すべき点は、連続計算可能時間が29時間28分を達成したことだそうです。(他のスパコンの連続稼働時間は3〜6時間程度)
 スパコン「京」の具体的な活用例としては、例えば「新薬候補の絞り込み期間の短縮」等があげられます。大日本住友製薬では、早速この「京」を使って、新薬候補の絞り込みを通常の3年半から半年程度に短縮する計画です。低迷する日本の新薬開発ですが、「京」の活用で海外勢に対して優位に立つことができます。医薬品開発は、研究開始から発売まで10〜20年弱かかると言われますが、従来は、病気に関連するタンパク質と化合物を反応させる実験を手作業で繰り返し、新薬候補を選んでいたそうですが、この絞り込み作業を「京」が担うそうです。
 また、昨今話題の「IPS細胞」の医療への実用化も、「京」とのコラボで様々なシュミレ−ションが短期に行われ、難病治療等への実用化の実現時期が早まることも期待されています。
 他の例では、「住友ゴム」のように、タイヤの低燃費性能や摩耗性能を極限まで高めるために使用する例があります。
 タイヤの低燃費性能や摩耗性能を極限まで高めるためには、素材となるゴムの分子構造をナノレベルで設計することが必要で、そのナノレベルの素材設計にあたって、低燃費性能や摩耗性能を大規模シュミレーションするのに「京」を活用するそうです。これまで、同社が素材開発に使用していたスーパーコンピューターに比べ、今後使用する「京」の演算処理能力は約280倍で、いままでよりもさらに大規模なシミュレーションを行うことが可能となり、予測困難だった現象を解明し、新素材開発をより効率的に行なえるということです。
 ところで我々不動産鑑定士も、日頃からパソコンにはお世話になっていますが、「京」程のスパコンにご厄介になるレベルではありません。しかし、数十年後・・、いや数年後かも知れませんが、「京」のようなレベルのスパコンが普及機となった頃には、様々な不動産活用等のシュミレ−ションに使用されていることも想像されます。
 どのように時代が進み、またスパコンの様な素晴らしい分析ツ−ルが手に入ったとしても、我々不動産鑑定士は、ドラマ「踊る大捜査線」の青島刑事が言う「事件は現場で起きている!」の言葉ではないですが、机上のシュミレ−ションでは解らない現地での実査の大切さをわかっています。
 不動産鑑定士のバイブルとも言える『不動産鑑定評価基準』には、「不動産の価格(又は賃料) は、通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成される。今日の価格(又は賃料) は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである。」とあり、「・・・それはまた、この社会における一連の価格秩序のなかで、対象不動産の価格の占める適正なあり所を指摘することである・・・」との記述があります。
 このような変化の過程にある不動産が置かれたポジションの有りどころを探り当てるためには、どのような時代になってもデスクワ−クのみでは到底不可能です。
 時代が進んでも、不動産の鑑定評価という作業は、現地での「風」を肌で感じ、その土地に住む(あるいは仕事をする)人の表情や人の思いを知り、その土地の匂いや起伏・凹凸等をまさに五感で感じなければ行えない、実にアナログ的な作業が大事なんだなぁ・・と実感させられる今日この頃です。

2012.10.31(執筆者:不動産鑑定士 木下幸生)

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