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かんてい通信

かんてい通信 第023号 題名:地価変動の地域性(1971年〜2012年)

 かんてい通信No.022「消費者物価指数と地価指数」において、消費者物価指数(コアコアCPI)及び市街地価格指数(全国・全用途)の最近の数値を1970年と比べると、それぞれ約3倍、約2倍となっていることから、1970年から現在まで保有している土地はインフレヘッジの手段とはならなかった可能性があることが示されました。
 ただし、その場合の市街地価格指数は全国・全用途平均ですから、地域や用途を細分化することにより、異なる結論を導くこともできると思われます。
 そこで、国が毎年公表している公示地価等を用いて、1971年から2012年までの地価の推移をみてみます。
 東京都千代田区三番町(都心の高級住宅地)約11倍
 東京都千代田区丸の内2丁目(高度オフィス街)約22倍
 東京都千代田区外神田(世界有数の秋葉原電気店街、
            最近はホビー・アニメ店街化が著しい)約6倍
 東京都中央区銀座4丁目交差点付近 約12倍
 東京都大田区田園調布3丁目(高級戸建住宅地)約8倍
 千葉県柏市泉町(柏駅徒歩圏の既成住宅地)約6倍
 千葉県柏市柏1丁目(柏駅前商業地)約2.5倍
 (柏市:人口が15万から40万人に増えた東京近郊市)
 岐阜市池田町1丁目(市中心部に近い住宅地)約2倍
 岐阜市柳ケ瀬通(岐阜市を代表する商店街)約0.4倍
 (岐阜市:人口が約40万人で横ばいの地方中心市)
 以上の中で上昇率が最も高かったのは丸の内で、下落したのは柳ケ瀬通りでした。丸の内の地価上昇率が高いのは、我が国の産業構造の高度化により、金融サービス等の高付加価値産業が求める高機能オフィス需要に対応できたため、賃料等の収益力が相対的に高まったことによるものと思われます。一方、柳ケ瀬通りはかつては周辺に競争相手がなく、消費需要を一手に集めていたものの、郊外店や駅前店への顧客の流出や人口の高齢化による消費需要の減退により収益力が低下したためと思われます。
 ところで、岐阜市と異なり人口が急増したにもかかわらず、柏駅前商業地の地価上昇率が消費者物価指数を下回っていることが注目されます。柏市の現在の人口はほぼ横ばいで推移していますので、今後は人口の高齢化に伴う消費需要の減少が商業地地価の下押し圧力を強めることが予想されます。
 また、同じ物品販売型商店街ですが、銀座と外神田では上昇率に2倍の差がついています。1971年当時は銀座の地価は外神田の約2倍にすぎませんでしたが、現在では約4倍と差が開いているのです。扱う商品の利益率と回転率に着目しその原因を推定しますと、1971年当時の電気製品はカラーテレビをはじめ利益率の高い商品が多く、都内安売り店は外神田に集中していたため、郊外からも消費者が集まったことで回転率も高まり、高い利益を享受していましたが、電気製品の低価格化と郊外店の増加に伴い、商品構成を若者マニア向けにシフトせざるを得なかったことにより、相対的に収益力が低下したためと思われます。
 以上の通り、商業地においては、丸の内のようなオフィス街では高機能化、銀座のような小売店舗街では商品構成の高利益率化と集客増による高回転率化により、土地の収益力の向上を達成した地域の地価が相対的に上昇率を高めたものと考えられます。
 住宅地の千代田区三番町は1971年頃は敷地面積300坪程度の戸建住宅が建ち並ぶ地域でしたが、容積率が高く高度利用が可能なため、地下鉄駅の新設とともにマンション建設が進み、今では高級マンションや事務所が建ち並ぶ地域となっています。一方、大田区田園調布3丁目は容積率が低いため、当時から現在まで敷地面積200〜300坪程度の戸建住宅が建ち並ぶ住宅地域のままです。地価は三番町の約11倍に対して田園調布3丁目は約8倍ですから、あまり変わらないようにも見えますが、その間の田園調布の全国ブランド化による地価上昇への貢献を割り引けば、マンション化(高度利用)により土地の利用効率を高めた地域の地価の上昇率が高いのは、広い意味で土地の収益力の向上によるものとも思えます。
 人口が集中する首都東京においても、今後はネット販売の普及や人口の高齢化による宅地需要の減少が地価を抑える要因となることが予想されますので、収益力を高めることの重要性が増すことと思います。

2013.1.24(執筆者:江沢不動産鑑定 不動産鑑定士 江沢正彦)

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