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かんてい通信

かんてい通信 第024号 題名:不動産取引における画地の個性等

 不動産の取引には、各種の事情があることや、画地の個性(我々不動産鑑定士は「個別的要因」と呼んでいますが)によって価格が上下することは、皆さんもご承知だと思います。(ここでは、主に土地取引の場合でお話します。)
  まず取引事情の例としては、「買進み」や「売急ぎ」等がありますが、我々も数多くの取引事例を収集して分析する場合、これらの事情の把握が難しい場合が多々あります。仮に、どうしてもこの土地がほしくて、周辺相場より高く買ったケ−スや、早めの換金を要するケ−スで明らかに安く売ってしまったと判別出来る場合は良いですが、これらの要素が重なって、結局、周辺相場と同等の水準で取引が成立しているケ−スもあります。極端に言ってしまえば、買手にとっては、この金額までなら払っても良いという限度があり、売手にとってもこれを下回ったら売る気はないといった限度があって、その限度内のどこかで取引が成立しているのが現実です。また、不動産は生鮮食品に似た部分があり、例えば新築分譲住宅物件の場合は、売れ残り部分については、数ヶ月単位でいわば鮮度が落ちてきて、開発業者は値引きをして再販売する場合もあります。ここ数年の場合は、つい数ヶ月前と比べ、数百万円程度値下がりして売られているケ−スがけっこう見られました。したがって、取引の事情と言っても、取引当事者の事情のほか、世の中の景気動向やその時代のニ−ズの変化といった複合的な要因が混ざり合っていることから、その事情の内容と、それを正常な取引に補正する程度を把握することは、かなり難しい作業となります。
  画地の個性についても、例えば角地や道路の向きの効用を大きく捉える人と、そうでない人がいます。ヨ−ロッパなどでは、日当たりが良いと家具が日焼けする等の理由から、むしろ、あまり日が当たり過ぎる方位は好まれないようです。ところで、我々不動産鑑定士が、日頃実務でこのような画地の個性率を判定する場合の規範としているものに、@『不動産鑑定評価基準』(不動産鑑定士が鑑定評価をするための基準)と、その個性率の目安が記された『土地価格比準表』(国土交通省監修)があります。(以下個性率=補正率)
 このほかの基準としては、財務省のA『財産評価基準(基本通達)』(主に国有財産、相続税課税のための相続財産の評価をするために使われる基準)、総務省のB『固定資産評価基準』(固定資産税課税のための評価で使用される基準)、旧建設省のC『公共用地の取得に伴う損失補償基準』(道路や鉄道事業等の用地買収をするために使われている基準)等があります。なぜこのような複数の基準があるのかというと、使用目的にあった基準が必要ということもありますが、管轄する省庁が違うからとも言えます。このうち、ABCは、あくまで各評価を行う行政側(Aは国、Bは市町村、Cは各事業主体)が守らねばならない規範でもあり、担当する行政の職員が自分で評価をする時にそれぞれ使用する基準です。不動産鑑定士については、各基準が目的とする場面(相続税評価、固定資産税評価、公共用地取得等)で行われる鑑定評価であったとしても、各基準に定められる補正項目や補正率をそのまま使わなければならないということはありません。 また、A〜Cの補正率等が実態に合わない場合、不動産鑑定士が補正率等を修正・追加することも出来ます(Cの場合は、条文でその旨が明示されています)。ちなみに、A〜Cと@の「土地価格比準表」には補正項目や補正率の一定の目安が定められていますが、一般の人が、これらの基準や比準表によって土地取引をしているわけではありませんので、自分の土地に判定された補正率(個性率)が納得いかないと思う場合等は、根拠を付して反論することも可能です。
 こうした十人十色の画地に対する思い入れがある中、鑑定評価の作業というのは、万人全てとは言えないまでも、多くの人が納得のいく個性率を判定して、その土地の適正な市場価値にせまる作業であるとも言えます。

2013.2.28(執筆者:不動産鑑定士 木下幸生)

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