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かんてい通信

かんてい通信 第029号 題名:金融緩和と不動産投資

 安部総理大臣による経済政策、アベノミクスにより日経平均株価は昨年末以降大幅に上昇しており、投資家による株式投資は活況を呈しています。
 そこで、アベノミクスの一環である金融緩和が行われている状況において、不動産投資を行うことについて検討したいと思います。なお、ここでの投資対象として、賃貸事務所ビルへ投資することを仮定します。
 賃貸事務所ビルのような収益不動産は、
 純収益(賃貸収入 − 賃貸費用) ÷ 還元利回り
で求められる価格を指標に取引が行われるのが一般的です。そして、検討を単純化するための前提条件として、金融緩和の指標を通貨供給量とし、賃貸収入、賃貸費用(一定とする)、還元利回り以外の要素については考慮しないこととします。
 下記のグラフは、日本銀行による通貨供給量と千代田区内における賃貸事務所ビルの平均賃料の推移(各年4月時点)を表したものです。















出典:通貨供給量(日本銀行)、平均賃料(三鬼商事株式会社)

 このグラフから概ねの傾向として、平成17年から平成20年頃までは景気回復に合わせて通貨供給量を減少させているように見え、不動産市場においては平均賃料が上昇しているように見えます。また、平成20年以降は景気を回復させるために通貨供給量を増加させているように見え、不動産市場においては平均賃料が下落しているように見えます。
 次に、下記のグラフは、日本銀行による通貨供給量と丸ノ内、大手町付近における賃貸事務所ビルの還元利回りの推移(各年4月時点)を表したものです。















出典:通貨供給量(日本銀行)、還元利回り((財)日本不動産研究所)

 グラフでは概ねの傾向として、平成17年から平成20年頃までは景気回復に合わせて通貨供給量を減少させているように見え、不動産市場においては還元利回りが下落しているように見えます。また、平成20年以降は景気を回復させるために通貨供給量を増加させているように見え、不動産市場においては還元利回りが上昇しているように見えます。なお、上記は、単純にグラフから概ねの傾向を見たもので有り、詳細に分析した場合は関連が無い可能性も有り、都心と地方都市とでは異なる可能性も有ります。
 以上から、現在は景気を回復させるために金融緩和により通貨供給量を増加させている状況と考えられることから、平均賃料は下落、還元利回りは上昇している傾向にあるのではないかと考えられます。この状況において、純収益÷還元利回りの式から求められる賃貸事務所ビル価格は、下落傾向にあることになります。そして、この賃貸事務所ビル価格が下落傾向のときに投資することができれば、将来、賃貸事務所ビル価格が上昇すれば有利な投資をしたことになります。しかしながら、実際の不動産市場においては、既に賃貸事務所ビル価格が上昇している物件も有り、また不動産価格は不動産の個別性を反映して形成される特性が有ることから、単純に金融緩和だけを見て不動産投資をすることが妥当ではないと言うことができます。

2013.7.26(執筆者:不動産鑑定士 西田直樹)

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