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かんてい通信

かんてい通信 第031号 題名:2020年東京五輪の皮算用

 先のIOC総会で2020年の夏季五輪の開催都市が東京に決まりました。7年後の開催に向けたインフラ整備や観光産業投資による直接的な経済効果のみならず、消費マインドの好転により、デフレ脱却を標榜するアベノミクスの後押し効果を期待する向きもあるようです。
 前回の東京五輪が開催された1964年当時は日本の高度経済成長期にあたり、東海道新幹線や首都高速道路など五輪の開幕日10月10日前の完成を目指した建設投資やテレビ等の民間消費も高まったため、「オリンピック景気」とよばれる好景気がもたらされました。
 今回は既に世界的な経済先進国となった日本全体にとって、五輪開催による経済効果は比較的小さいと思われますが、開催都市である東京都(地方自治体)にとってはいささか事情が異なるものと思われます。
 競技会場の計画を見ますと、晴海に新設される選手村や有明ビッグサイト内のプレスセンターをはじめとして東京都臨海部に計画されている競技会場が過半を占めることが注目されます。
 これらの中心地「お台場」は今でこそ商業施設が充実し、週末の気軽な観光地の性格が強いですが、開発当初の1989年においてはオフィス街を予定して建設が始まりました。バブル経済の崩壊により、企業進出の中止が相次いだため、開発計画の見直しを余儀なくされましたが、開発は継続され、2015年頃までにはインフラ整備が終了し、まちが出来上がる計画となっています。
 東京都港湾局の公表資料によりますと、このエリアは全体で442haと広大なため、事業費は東京都分だけでも24,300億円と巨額に上ります。一方、宅地供給計画は累計で192haとされていますので、土地の処分だけで事業費を回収するためには金利を考慮に入れなくとも、1u当たり1,265千円(24,300億円÷1,920,000u)相当で処分(長期貸付、売却、定期借地)する必要があります。一方、2013年1月現在の地価公示価格は臨海副都心の中心部に位置するりんかい線国際展示場駅から徒歩約4分のTOC有明ビルでも1u当たり928千円となっていることから、長期にわたる地価下落による事業収支の悪化が推測できます。
 かつて1993年に「臨海開発の起爆剤」として1996年の開催が決定された世界都市博覧会(予定会期204日間)は1995年、世界都市博の中止を選挙公約に掲げ世論の追い風で当選した青島新都知事のもとで中止されましたが、その後18年を経過して、やっと悲願の世界イベント招致に成功したといえるでしょう。前回の2016年開催地立候補の時には大方の都民はやや唐突な印象を受けたと思いますが、臨海副都心開発という東京都の長年にわたるお家事情を考えれば合点がいくと思います。
 東京五輪招致決定直後に晴海の新築マンションに予約が殺到するなど、早くも五輪効果が表面化している地域もあるようですが、長期的な住宅価格の上昇につながるかどうかは疑問です。
 東京都が2010年12月に公表した東京都における年齢別昼間就業者数推移によれば、主たる住宅一次取得者層と考えられる35〜44歳の人口は2010年から2020年までに約38万人(約17%)の減少が予測されています。また賃貸住宅需要層25〜34歳の人口は同じく約12万人(約8%)の減少となっていますが、住宅二次取得者層45〜54歳の人口は逆に約50万人(約31%)の増加となっています。(15〜64歳の全就業者人口は約20万人(約2.4%)の減少)
 25〜54歳の合計では人口に変化はありませんが、子育て世代の減少により、住宅の床面積需要は減少する可能性が高いと考えられます。
2013.09.26(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦)

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