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かんてい通信

かんてい通信 第036号 題名:『ブランド・イメ−ジ』

 民間の「不動産経済研究所」が1月22日に発表したマンション市場動向によると、昨年12月の首都圏マンション発売戸数は8246戸となり、前年比で6.1%増、契約率は76.1%で、好不調の分かれ目とされる70%を11カ月連続で上回りました。 また、1戸当たりの価格は5338万円で、前年比18.2%の上昇。マンション販売在庫数は5090戸で、前月比1150戸の増加です。さらに本年1月の発売戸数は2000戸を見込んでいるそうです。
 同時に発表された2013年の首都圏マンション年間発売戸数は前年比23.8%増の5万6476戸となり、契約率は79.5%という結果でした。
 このようにマンション販売が好調な中、三菱地所レジデンスが販売していた東京・港区青山の一等地に建設中の超高級マンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」で、工事の不具合が発覚して販売中止となる不祥事が起こりました。
 その不具合というのが、「スリーブ」といわれる、水道管などを設置するための「孔」が開いていなかったためだそうで、なんとも初歩的なミスが原因でした。欠陥が見つかったことで契約者への引き渡しは中止。引き渡し予定日が2014年3月20日に迫っていたことから、「合意解約のお願い」という異例の事態となってしまいました。 現在、原因の究明が続いていますが、「原因の究明と是正工事に、少なくとも1年はかかりそう」とのことで、販売再開の見通しは立たず、建物を取り壊すような最悪の事態も「ゼロではない」と話しています。
 そもそも今回の物件の欠陥は、具体的には、全部で6000か所あるはずのスリーブのうち、1割にあたる600か所の孔がなかったり、位置が間違っていたりしたうえに、配管を通そうと後から開けた孔が、鉄筋を切ってしまった個所も見つかったそうです。
 スリーブは建設工程の比較的初期段階の工事とされていて、三菱地所は「通常では考えられないミス」と驚いており、「現時点でわかっていることは、施工の段階で設計図を『施工図』に落とし込み、すり合わせる過程の作業で、(孔が)なくなったようです」と説明しています。
 ただ、問題はそのことがわかったのが、インターネット上にあった「カキコミ」で判明したことで、「カキコミ」を見た契約者が三菱地所に問い質したことで事実確認が始まりました。
 三菱地所もその点を問題視しており、「誰が書き込んだものなのかはわかりませんが、他者からの指摘でわかったことは事実。今後、こうした建設中のチェック機能を強化する方策を検討していきます」と話しています。
 「三菱地所」「鹿島建設」「関電工」といった、一流の事業者が行うプロジェクトであれば、購入者も「安心感」をもって購入し、入居を楽しみにしていたと思いますので、今回のことは、いわば、「ブランド・イメ−ジ」を損なう行為であったと言えます。
 以前にあった、いわゆる「姉歯一級建築士事件」(構造計算書偽造)と同様に、マンション・ユ−ザ−の信頼を損ねる結果になってしまいました。
 我々不動産鑑定業においても、時折「現状では開発不可能な山林等」を「開発可能な宅地見込地として」評価してほしい等の依頼がある事もありますが、その想定に、よほどの蓋然性がなければ、昨年の大河ドラマではありませんが、『ならぬものは、ならぬのです。』と、お断りしなくてはなりません。
 資格者は「信用」が命と言われますが、当該案件の鑑定評価主体は、一個人の鑑定士であっても、その背後には多くの優秀な他の鑑定士がいることを忘れてはいけないと思います。
 我々不動産鑑定士も、今回のマンション業界の不祥事を教訓に、「不動産鑑定士」という、「ブランド・イメ−ジ」を損なうことのないように、日々の作業を行っていかねばならないなぁと、あらためて思わされました。

2014.2.26(執筆者:不動産鑑定士 木下幸生)

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