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かんてい通信

かんてい通信 第042号 題名:水と地歴とハザードマップ

 近年、全国各地で記録的な大雨による水害が多発しています。不幸にもこれらの大雨による被害を受けた地域の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
 新聞、テレビで毎日のように大雨や土砂崩れのニュースが報道されるため自然とこれらの災害から免れるためには如何にすべきか最善の方法はなにかと考えるようになりました。しかし、結局、治水・防災について門外漢の私には「危険な箇所にはできるだけ近づかない」というごく当たり前の結論しか得ることはできませんでした。
 それでもわざわざこのような話題を取り上げた理由は、危険な箇所について近づかないためにはどこが危険な箇所を知らなくてはならず、どこが危険な箇所かを調べることはかなり有意義なことと思えたからです。
 仕事で馴染みのある西東京市について調べてみたときのことです。 まずは行政機関の作成しているハザードマップを調べました。これは平成12年9月に降った東海豪雨(総雨量589mm、時間最大雨量114mm)を前提にシミュレーションを行い予測される浸水の区域と最大の水深が示されています。(因みに今年の8月9日、台風11号の影響で三重県各地に被害をもたらした大雨は尾鷲市で総雨量517mm、時間最大雨量85mmでした。:気象庁発表)
  西東京市には石神井川が流れていてこの川の周辺は当然ながら浸水予想地域になっています。ところが別段近くに川がない泉町5、6丁目一帯も比較的大きな範囲で1〜2メートルの浸水が予想されているのです。ハザードマップはその範囲が塗り潰されているだけでその理由までは書いてありません。一見するとその地域は平坦なごく普通の住宅地にしか見えません。水が溜るのはその地域がやや低くなっている為だろうと予想する程度のことはできますがそれ以上のことはわかりません。
そうなると昔は一体どんなところだったのだろうと疑問になってきます。調べてみるとやはり色々とありました。
 「保谷の自然と緑を考える会ニュース」 1989.3.20 No.10 より 悪水堀  保谷地域の水で一つの特色となるものに「悪水堀」がある。これは、雨水に依って一時的に池状のものを形成することである。おそらく地図上には現れないものであるが、事実、保谷のいたるところに形成したものである。・・・・・中略・・・・。(3)現在の保谷高校の辺りに「あまぬま」なるものが生じ、時には大人の身長ほどの池を形成したとのことである。(星淳氏)
  また狩野川台風(昭和33・西暦1958年)時の水害では、保谷市史に「とくに山合(現在の泉町の北部)の窪地にあるビルマ住宅は水深2メートルに及び、ほぼ全戸が床上浸水するという激甚な被害を受けた」とあります。
 まさにハザードマップで塗りつぶされている地域と一致していたのです。つまりそこは大雨が降ると沼に変身する地域で、実際に狩野川台風時は甚大な被害を受けていたのです。そこで合点がいきましたハザードマップで色が塗られる訳です。 もちろんこのような市内の溢水箇所については行政側もただ手をこまねいている訳ではなく、浸透施設や貯留施設による対策を基本として計画的に溢水対策を進めているため防災環境は確実に良くなっていると思われます。 ただ、このような地歴に基づく背景を知っているのと知らないのでは大雨に対する心構えが大きく変わってくるのではないでしょうか。ごく普通に見える住宅地でもその背景を調べると様々なことがわかってきます。また、長年住んでいる地域であっても普段は見過ごしていることがあるかもしれません。ハザードマップを確認するのを契機にその背景も調べてみてはいかがですか新しい発見があるかもしれません。
(執筆者: 不動産鑑定士 井上 尚)

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