本文へスキップ

かんてい通信のホームページへようこそ。私達は不動産に関する専門家集団です。

TEL. 03-5207-5758

〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1-8-3 ハイツモントレ神田801

かんてい通信

かんてい通信 第047号 題名:五輪選手村跡地住宅1000戸増の背景を探る

 昨年12月19日に東京都は2020年東京五輪終了後の選手村予定地の住宅棟のモデルプランを公表しました。選手村として一時使用する14〜17階建の住宅棟(板状)は22棟で大会後に建設する50階建の住宅棟(超高層タワー)と4階建の商業棟1棟に学校予定地や消防署予定地、晴海ふ頭公園などが配されたイラストが大会終了後のイメージとして添付されています。
 昨年1月28日に報道された計画の内容と比べて、選手宿泊用の5000戸分の中高層建物を民間住宅に転用する計画に変更はありませんが、大会終了後に50階建の超高層タワーマンション2棟(差し引き1000戸)を建設し総戸数6000戸とする点が大きく異なります。
 昨年1月の報道では近年人口が急増中の地元中央区が小学校等の整備資金負担の抑制を求めたため、将来人口を12,000人とする計画(5000戸)に落ち着いたとされていました。(ちなみに、現在建替工事中の区立豊海小学校の建物建設費は80億円とのことです。)
 昨年12月の公表には選手村跡地住宅の計画戸数が1000戸増となった理由は示されておりませんので、その理由を考えてみたいと思います。
 昨年11月19日に開催された都議会オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会において施設整備費が招致段階の計画1538億円(本体工事費のみ)から4584億円(本体工事費のほか調査、設計等の委託費、整地費、インフラ整備費、建設残土処理費、支障物撤去・移設費、恒久施設化費用、工事中のセキュリティ対策費を含む)に増加する見込みとなったため、3会場の新設を中止するなどして2008億円を縮減し、2576億円と試算していることが示されました。
 施設整備費見込額の増加は主として費用の構成内容の相違によるものと考えられますが、建設物価の上昇や消費税の増税による影響も無視できないものと思います。
 東京五輪開催のためのインフラ整備を含めた建設需要の一時的な増大が建設物価の上昇に少なからず寄与していることは皮肉な結果です。
 選手村予定地は東京都が所有しており、面積に変更はありませんので、計画戸数の増加はマンション開発業者の採算性の向上すなわちマンション開発業者の仕入れ=都有地の売却収入の増加に直結します。(住宅ゾーン概測135千u)
 招致計画において、選手村の居住人数17千人、1人当たりの床面積19.7u(延床面積は17000×19.7=335,000u)で、住棟の建設費用は954億円とされていました。
 総戸数5000戸の場合、1戸当たりの専有面積は335,000u÷5000戸=67u、同じく建設費は954億円÷5000戸=1900万円です。
 分譲価格を1戸当たり5000万円、マンション開発業者の利益を販売価格の10%、販売経費を同5%、改装費を建設費の5%と仮定し、簡便のため金利は考慮しないものとすると、
 土地仕入総額の上限値は総売上高から建設費、改装費、開発業者利益を控除した
 (5000万円−5000万円×0.15−1900万円×1.05)×5000戸=1128億円となりますが、
 売値がそのままで建設費が25%値上がりしたとすると、建設費・改装費の上昇分1900万円×0.25×1.05×5000戸=250億円減ります。
 しかし大会後に建設する超高層棟の分譲価格・建設費をともに1.2倍と仮定すると、土地仕入総額の上限値は1000戸分の (5000万円×1.2−5000万円×1.2×0.15−1900万円×1.2×1.25)×1000戸=225億円増え、建設費の25%上昇分をほぼ補えますので、戸数の増加は建設費値上がり対策と考えてよいのではないかと思います。
  2015.01.30(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦) 

 
 印刷用pdfはこちらをクリック

バナースペース

(有)井上不動産鑑定事務所内
企業不動産研究グループ事務局

〒101-0041
東京都千代田区神田須田町1-8-3
    ハイツモントレ神田801

TEL 03-5207-5758
FAX 03-5207-5759