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かんてい通信

かんてい通信 第050号 題名:空家対策特別措置法で地価暴落?

 「空家等対策の推進に関する特別措置法」が2015年(平成27年)2月26日から一部施行されたことに伴って空き家に対する課税が強化されるため、 不動産が大暴落するといった記事を時々見かけます。
また、4月21日、日経新聞電子版の記事では<空き家の3分の2(68.9%)が現在の耐震基準がなかった1980年以前の建物であることが国土交通省の調査で分かった。 老朽化した空き家を放置すれば倒壊などのリスクもある。 −中略−国交省は21日、今後10年の住宅政策を定める「住生活基本計画」の見直し議論を始めた。空き家の所有者と不動産業者をつなぐ情報照会の仕組みや用途転換の推進などが論点となる。 来年3月の閣議決定をめざす。>と書かれています。
はたして、空家対策特別措置法施行を契機として土地価格の大幅下落が始まるのでしょうか?
暴落説の論拠は概ね以下の通りです。
総務省統計局のデータによれば、全国の総住宅数は6,063万戸で、5年前に比べて305万戸(5.3%)増加。そのうち、空き家数は820万戸と、5年前に比べて63万戸(8.3%)増加し、 空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%で過去最高を記録する程に増えている。
適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼし社会問題化しているため政府は空家対策特別措置法を制定し対策に乗り出した。
この法律は、「特定空家等」と判断した場合、「固定資産税等の住宅用地特例※」の対象から除外される。これにより税負担が大幅に増えるため、 空き家が市場に大量に放出され需給バランスが崩れて地価が暴落するというのが地価暴落説の論拠です。
※住宅等の敷地として利用されている土地は、固定資産税が課税標準額の1/6〜1/3、都市計画税が1/3〜2/3に軽減される。都市部では、建物を取り壊して更地にすると特例が使えなくなるため、 管理状態の悪い空き家が放置される要因と指摘されていた。「特定空家等」(以下特定空家)とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は 著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
データを見てみましょう。国交省の土地取引規制基礎調査概況調査によると全国の土地取引件数は平成26年1年間で約140万 件です。先程の総務省の調査では全国の空家数は820万戸です。 住生活総合調査のアンケート結果では空家のうち21%が特定空家に相当する状態でした。仮に820万戸のうち半数が一戸建(土地の取引件数に対応させるため)でそのうち2割が特定空家だとすると 820×1/2×0.2=82万戸で全国には年間の取引件数の約57%に相当する特定空家があることになります。 もしこの件数が一度に市場に放出されれば通常年の約1.6倍の土地が供給がされることになります。 そうなると一時的にせよ地価が大幅に下落する可能性は否定できないと思います。
しかし、この計算では全戸建住宅(推定)3,031万戸のうち2.7%が特定空家つまり100軒の戸建住宅のうち2〜3件が衛生、景観を損ねるほどのひどい状態の家ということになります。 日常的に都内を歩き回っている感じではそこまでは多くないように思われたので、もう少しエリアを絞り都内で住宅の多い杉並区を調べてみました。 平成25年の調査では一戸建ての空き家は区内全体で319戸、空き家率は0.37%となっていました。同様に平成26年杉並区の土地取引件数は7,524件です。 空き家すべてが放出されてもその割合は約4%です、特定空家等となればその割合はもっと低くなると思われ、この程度の供給増であれば地価への影響は軽微と思われます。
(執筆者: 不動産鑑定士 井上 尚)

 

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