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かんてい通信

かんてい通信 第059号 題名:マンションの時価と課税評価額

 去る1月24日の日本経済新聞に総務省と国税庁は高層マンションの相続税や固定資産税の評価額が高層階ほど時価に比べて割安となっている弊害を是正するため、高層階の評価額を引き上げる検討に入ったとの報道がありました。与党の税制調査会で議論し、早ければ2017年に省令を改正し、2018年1月から実施する見通しとのことです。
 マンション1戸の相続税や固定資産税の課税上の評価額は、簡単に言うと一棟全体の土地建物評価額に各戸の専有面積の比率(持分割合)を乗じて算出されますので、市場価格を左右する階層による格差は反映されないため、階層別に補正率を導入し、現状に比べて高層階は評価額を引き上げ、低層階は評価額を引き下げる等の案が検討されるようです。
 マンションに関しては、階層別の時価の格差もさることながら、築年数による時価の格差も大きいと思われますので、東京都港区三田2丁目の同じ道路に面する敷地面積や規模、建築時の品等の類似する2つの分譲マンションを例にとり、時価と相続税評価額の格差を推定してみます。
 1つは1971年築の三田綱町パークマンション(敷地面積8,370.63u、地上19階建2棟建物公簿延床面積24,918.83u)で他の1つは近日竣工予定のパークマンション三田綱町フォレスト(敷地面積6,151.43u、地上11階建建築確認延床面積18,808.04u)です。
 完成時期が大きく異なりますが、どちらも綱町三井倶楽部の広大な庭園を借景とするグレードの高いマンションといえましょう。
 前者の4階部分専有面積128.70u(敷地権割合2038702分の12966)が1億2千万円で売りに出され、昨年の春に成約に至った模様です。また現在後者の8階部分専有面積118.80uが3億5千万円で売り出されております。後者の専有面積はやや小さく、また売り出し価格であることを考慮すれば、新築マンションの時価は築45年のマンションの約3倍です。
 それぞれの土地の持分は概ね約50uと推定され、2015年の相続税路線価は1u当たり990千円ですので、土地の相続税評価額はいずれも約5千万円となります。
 建物の相続税評価額は固定資産税評価額とされておりますが、経年減価を考慮し新しい方を3千万円、古い方を1千万円と仮定すれば、土地建物の相続税評価額は新しい方が8千万円(時価の4分の1以下)、古い方が6千万円(時価の2分の1)となり、新築マンションの評価額は築45年のマンションの約1.3倍にすぎません。
 上記は時価が評価額を上回る場合でしたが、高度経済成長期に大量に供給された郊外の団地などは、経年減価のない土地の持分面積が広いため、建物の老朽化によって時価が評価額を下回る場合も多いと思われます。
 また、バブル期に建設されたスキー場近くの高層リゾートマンションなどは実需の減少と高額の維持費がネックとなり、時価が課税上の評価額を下回る場合がほとんどです。
 マンションは戸建て住宅等と異なり容易に建て替えができないため、専有部分の市場価値は建物の利用価値に左右されますが、課税上の土地の評価額はその土地の上にどのような建物が建っていたとしても更地として評価されるため、時価と課税上の評価額の乖離は避けられません。
 相続税評価額が時価を上回る場合は鑑定評価による相続税申告が有効ですが、将来は全国的な人口の減少とともに地域によっては同様の現象が頻発する可能性がありますので、マンションについては今後、課税上の評価方法の見直しが必要となるかもしれません。
2016.01.26(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦) 

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