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かんてい通信

かんてい通信 第063号 題名:選手村用地の譲渡予定価格は妥当か?

 去る5月13日に東京都は晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業として整備する東京2020オリンピック・パラリンピック競技中の選手用宿泊施設および大会後の住宅を建設する特定建築者の募集を発表しました。
 そこで示された建物の敷地となる都有地13.4haの譲渡予定価格(最低価格)は総額12,960百万円で1u当たり約9万6千円余りであったため、去る5月17日、日本共産党東京都議会議員団は同じ晴海地域(晴海二丁目)の都有地を4年前に民間に譲渡した際の土地単価1u当たり103万円と比べ10分の1 に過ぎず、東京都負担の盛土や上下水道道路整備費用410億円(注:同都議団発表の金額)を考慮すると、大手デベロッパー優遇措置であるとして都知事に見直しを申し入れました。そこでこの際、予定価格の妥当性について検討したいと思います。
 東京都が公表した昨年7月1日現在の基準地価格によれば、同じ晴海五丁目の中央清掃工場北側に所在する勝どき駅から徒歩約11分の20階建マンションの敷地4,158u(商業地域、容積率500%)の1u当たりの単価はその1年前から10.5%上昇して895千円となっています。
 一方、開発予定の街区は勝どき駅から徒歩約14〜22分の範囲内のバス圏となり、住宅用街区の容積率も地区計画により300%または400%に制限されますので、前記の基準地価格よりは低くなるとしても著しい差はないと思います。
 募集要領によれば、特定建築者は都の定める事業計画等に沿って全街区の建築物(有料老人ホームや保育所等の「導入施設」を含む)を自らの負担で建築しますが、板状棟21棟及び商業棟1棟は2020東京五輪期間中の選手村として有償で一時使用されることが予定されており、平成32年開催の五輪後は板状棟を住宅に改修するとともに超高層タワー棟2棟を建設し、平成36年3月を最終期限として工事の完了後に敷地代金を納付し所有権を取得するものとされています。敷地の所有権を取得した特定建築者は板状棟4棟約1,500戸及び商業棟を賃貸用にその他の約4,150戸を分譲用として事業費を回収することとなります。
 特定建築者は資力・信用審査等の応募資格(過去5年間の内のいずれかの年で1年当たり1500戸以上の分譲マンションの供給実績を有することなど)を満たした者の中から応募図書を計画・企画提案60点(建築計画、環境への配慮ほか)、敷地価格40点の合計100点の総合評価で評価し、最高点の応募者を選定することとされています。(同点の場合は敷地価格高位者)
 応募者は応募の際に建築物の設計図書等のほか、分譲価格や予定家賃等の収入及び建設費や各種経費、用地費(敷地の譲受希望価額)等の費用、利潤などを記載した資金計画書の提出が求められており、(分譲価格や賃料の上昇や建築コストの減少等により)資金計画が応募時に比べて著しく収益増となることが明白になった場合は譲渡金額についての協議が、資金計画書に記載のない収入が生じる場合は資金計画の修正を行い、譲渡金額に反映させることが定められておりますが、収支実績の提出義務、「著しい」の定義、協議不調の場合の規定がありませんので、譲渡金額の変更が容易にできるかどうかは明らかではありません。
 分譲価格や賃料の下落、建築コストの増大による事業者収支の悪化の場合の譲渡金額見直し規定はありませんので、資金回収が景気の不透明な五輪後となるリスクはあるものの、予定価格が八王子駅から4kmの住宅地域に所在する東京都地価調査基準地(八王子-17)とほぼ同じですので職業柄、評価過程に興味を覚えます。
2016.05.31(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦) 

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