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かんてい通信

かんてい通信 第064号 題名:迫りつつある生産緑地の2022年問題

 生産緑地地区に指定された土地は2014年3月31日現在で全国に約13,600ha(内東京都約3,300ha)ありますが、その大部分は1991年の生産緑地法の改正後1992年に指定されたものであるため、指定後満30年を迎える2022年に、一斉に市区町村長に対し買取申出が可能となります。
 買い取られなかった生産緑地(買取申出がなされたもののほとんどすべてと予想されます)は買取申出の日から3か月後に行為制限が解除され、宅地としての利用が可能となるため、一時に大量に宅地が供給される結果、地価や家賃の下落懸念があり、これが現在脚光を浴びつつある2022年問題です。
 去る2月10日、都市の公園・緑地・農地等の活用保全を目的とする都市緑地法等の一部を改正する法律案が内閣で閣議決定され、第193国会に提出され、現在衆議院で審議中です。
 改正案の中には生産緑地法の一部改正も含まれ、改正後は以下のことが可能となります。
 1.生産緑地地区の一律500u以上の面積要件を市区町村による条例で引き下げ。(下限は300u)
 2.生産緑地地区及びその周辺の地域内で生産された農産物等を原材料として使用する工場、物品(加工品含む)販売所、料理店等の生産緑地地区内での設置。
 3.指定後30年の期限が迫る生産緑地地区について、市区町村長が所有者等の利害関係人の同意を得て10年間の期限で特定生産緑地地区として指定することにより、市区町村長に対する生産緑地の買取申出が可能となる時期を10年間延長。(再指定による再延長可能)
 改正案には指定後30年の買取申出期限の延長を可能とする「特定生産緑地地区」の指定制度が設けられましたが、指定には生産緑地の所有者、賃借権者、抵当権者等「農地等利害関係人」の同意が必要とされておりますので、少なくとも生産緑地の所有者の意志に反して買取申出期限を延長することはできないため、改正案が成立施行されても2022年問題の懸念は残るものと思われます。
 都市緑地としての生産緑地の保全という公益的な大義はあるものの、指定後30年の経過による生産緑地地区の実質解除可能規定は所有者を含む利害関係人の既得権であるため、既得権ひいては取引の安全の侵害につながる一方的な期限の延長には踏み込めなかったものと思われます。
 ところで、買取申出の相手方は市区町村長であるため、買取申出に関する取扱いは市区町村により異なることに注意が必要です。
 例えば生産緑地地区の指定から30年経過後の買取申出期間について、東京都の世田谷区や清瀬市の要綱には規定はなく、30年経過後はいつでも申出可能と考えられますが、立川市の要綱には「買取りの申出期間は、その事由の発生からおおむね1年以内とする。ただし、市長が特別な理由があると認めたときは、1年を超えて買取りの申出をすることができる。」と規定され、同市ホームページの「買取申出についての注意点」には「買取申出ができるのは、各事由につき1回のみ、事由の発生(30年経過・死亡・故障の認定)から原則1年以内です。」と記載されているように自治体によりまちまちで、現在特に要綱の定められていない自治体も多いようです。
 30年経過後はいつでも買取申出可能なのか、買取申出可能なのは30年経過後1年間のみなのかは、生産緑地の利用計画に重大な影響がありますので、所有者ほか利害関係人の方々には、早めに確認されることをお勧めいたします。
2017.03.10(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦) 

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