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かんてい通信

かんてい通信 第065号 題名:迫りつつある生産緑地の2022年問題(2)

 前回取り上げた都市における緑地(農地を含む)の保全及び緑化の推進を目的とする「都市緑地法等の一部を改正する法律案」は去る4月14日衆議院本会議で、また4月28日参議院本会議でそれぞれ可決され成立しました。
 その中に含まれる生産緑地法の改正も、生産緑地地区指定後30年経過後の生産緑地の買取申出を経た宅地化への道は残されたため、宅地の大量供給懸念、所謂2022年問題の効果的な対策とならないことは前回述べたとおりです。
 指定後30年経過後いつでも買取申出が可能となった生産緑地について、固定資産税の農地並み課税及び相続税の納税猶予(相続税評価額は宅地並みで、譲渡等・農業経営廃止・買取申出時までの納税期限猶予及び終身営農を条件に相続人の死亡時に納税猶予相続税を免除)という税制上の優遇措置を続けるのか否かは今後議論される可能性がありますが、現行の固定資産評価基準及び租税特別措置法には指定後30年経過後の生産緑地の適用除外規定がありませんので、現行法等が継続する限り、買取申出がなされていない生産緑地については税制上の優遇措置は継続するものと思われます。
 そこで2022年の法制度次第とはなりますが、他の生産緑地所有者の動向をみながら、農業を継続しつつ生産緑地の利用計画や売却時期をじっくり検討することも選択肢の一つとなりえます。
 売り物が大量に出ているときに安値で売ろうとせずに様子を見る方法ですが、一般的には人口の減少により将来的に宅地需要の減少が見込まれるため、2022年からの宅地供給の増加により地価の下落に拍車がかかることが予想されますので、できるだけ早期の売却が得策となるかもしれません。
 今後2022年の前に相続の発生する生産緑地については未だ宅地の大量供給が現実のものとなっていないため、2022年後に比べて有利な条件での売却が可能と思われます。
 しかし、これまでに相続税の納税猶予を受けたことのある生産緑地については買取申し出を行うと、猶予されていた宅地並みの相続税を利子税加算の上、納付しなければならないため、相続の時期にもよりますが、地価の長期的な下落傾向を考えると、買取申出を断念せざるを得ない場合も多いと思います。
 まず戸建住宅の供給が増えると、住宅の需要がそれに比例して増えない限り価格が下落することが予想されますので開発業者は土地の仕入れ値を抑えようとするため地価は下落します。
 買取申出により自治体に買い取られないこととなった生産緑地は宅地としての利用が可能となるため、分譲住宅の開発業者への売却や賃貸住宅の建設などの有効活用が可能となります。
 また生産緑地の跡地に賃貸住宅が建設されると周辺の賃貸住宅の家賃が下落する恐れがあります。
 生産緑地は指定の要件が500u以上であり、敷地にゆとりがあることから、良質の賃貸住宅の建設が可能であり、周辺の既存の賃貸住宅に比べて競争力を有すると思われます。
 そのため有効活用を目的として生産緑地の跡地に良質の賃貸住宅が建設されると、周辺の賃貸住宅の入居者がより良い住宅を求めて移動する可能性が高くなります。
 入居者を奪われ、空室率の高まった周辺の賃貸住宅は家賃の値下げで対抗せざるを得ないため、結果として地域の賃料水準は下落することとなります。
 生産緑地周辺で賃貸住宅の建設を計画されている方は注意が必要と思われます。
2017.05.09(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦) 

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