本文へスキップ

かんてい通信のホームページへようこそ。私達は不動産に関する専門家集団です。

TEL. 03-5207-5758

〒101-0063 東京都千代田区神田須田町1-8-3-801

かんてい通信

かんてい通信 第067号 題名:迫りつつある生産緑地の2022年問題(4)

 昨年12月22日に平成30年度税制改正の大綱が閣議決定され、指定後30年を経過し、いつでも買取申出が可能となる生産緑地についての税制の改正方針が明らかとなりました。
 相続税に関しては、現(30年経過前)に適用を受けている納税猶予については継続(相続人の終身営農を条件に死亡時に免除)されますが、30年経過後に発生した相続については納税猶予を受けられなくなります。
 固定資産税及び都市計画税については30年経過後は宅地並み評価となり、税額は生産緑地に該当しなくなった(特定)市街化区域農地と同様の激変緩和措置(地方税附則第19条の3により5年間で段階的に宅地並みの税額へと引き上げ)が講じられるものの、5年経過後は生産緑地に指定されていない(特定)市街化区域農地と同様の扱い(小規模以外の住宅用地並み課税)となります。
 現在の生産緑地は指定30年経過前に特定生産緑地(10年間の指定期限後に、指定の再延長がされたものを含む)の指定を受けなければ指定30年経過前の生産緑地と同様の相続税、固定資産税等の優遇措置を受けられなくなりますので、特定生産緑地の指定を受ける意思のない生産緑地の所有者にとっては30年経過後も行為制限のある生産緑地の指定を継続するのは理由がないこととなります。
 また、固定資産税等の宅地並み課税により、農業経営は赤字の危険性が増大しますので、郊外の人口減を背景とする宅地需要の減退による将来の地価下落(及び家賃の下落)が避けられないならば、相続税の納税猶予を受けておらず、売却の意思のある生産緑地の所有者は、指定30年経過後、買取申し出を経て早めに売却に動くことが予想されます。
 ただし、法律は成立前ですが、「都市農地の貸借の円滑化に関する法律(仮称)」に定められた一定の要件を満たす貸付が行われている生産緑地については相続税の納税猶予が適用できるよう税制の見直しが行われることとなりましたので、自ら営農せず貸付を前提とした生産緑地(特定生産緑地を含む)の維持が可能となったことは宅地化の歯止めとなる一定の効果が期待できそうです。
 また、保有コスト(宅地並み課税後の固定資産税等は年間で概ね時価の1%未満)を考えますと、売却の集中による地価の急落は近い将来に宅地需要の急減が確実に予想される場合を除き、ある程度緩和されるものと思われます。
 ところで、平成27年度に東京都が東京都農業会議に調査を委託して目黒区、大田区、中野区、北区を除く都内在住の生産緑地の所有者で農業経営面積10アール以上の農家に対して行った生産緑地の利用に関する意向調査(調査票発送の対象者10,675件の内、有効回答数65.4%)によれば、相続税納税猶予制度の適用を全く受けていないとの回答数は全体の41.3%で、そのうち今後の利用意向について「30年経過後も農地として利用するつもり」が34.0%(全体の14.0%)、「指定から30年経過後、すぐに区市へ買取申出したい」が8.2%(同3.4%)、「わからない」が53.3%(同22.0%)となっています。(出典:都市農業者の生産緑地の利用に関する意向調査結果報告書、平成28年1月東京都産業労働局農林水産部)
 「わからない」との回答は調査時期が30年経過の約7年前であり、将来の経済情勢その他の変化により利用意向が左右されることを示していると考えますと、「すぐに買取申出したい」と合わせ、少なくとも回答全体の25.4%については売却可能性があると思われます。
  2018.01.24(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦) 

 印刷用pdfはこちらをクリック


バナースペース

(有)井上不動産鑑定事務所内
企業不動産研究グループ事務局

〒101-0063
東京都千代田区神田須田町1-8-3
    ハイツモントレ神田801

TEL 03-5207-5758
FAX 03-5207-5759

ニュースレター/- かんてい通信ホームページ