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かんてい通信

かんてい通信 第068号 題名:渋谷駅再開発に見る鉄道用地の錬金術

 現在渋谷駅周辺では土地区画整理事業及び市街地再開発事業によるビル建設が盛んであり、今年9月には「渋谷駅南街区」内の渋谷駅南側に超高層の事務所・ホテル・店舗等の複合施設「渋谷ストリーム」が、2019年度には「渋谷駅街区」内の渋谷駅東側に近接して東棟地上47階建の事務所・店舗「渋谷スクランブルスクエア」が開業予定となっています。
 これらはいずれも東急東横線と東京メトロ副都心線を渋谷駅西口広場下の副都心線渋谷駅で直結するため上記渋谷駅と東横線代官山駅間の線路を地下化することにより、不要となった東横線渋谷駅及び地上線路の跡地を活用し、建設が可能となったものです。
 副都心線の建設は当初東京13号線として1972年の都市交通審議会答申第15号において埼玉県の志木から池袋を経由して新宿に至り、その先渋谷、品川、羽田空港方面への延伸も検討するとの構想が示され、1985年7月の運輸政策審議会答申第7号で終点を渋谷とすることが決定されましたが、同年8月には小竹向原・池袋間は有楽町線複々線として地下の建設工事は完了していました。
 1994年12月の小竹向原・池袋間の開業後も、副都心線の池袋・渋谷間の建設は保留となっていましたが、1998年11月の緊急経済対策の一環として補正予算に建設費の補助金が計上されたことを契機として事業免許が下り、2001年6月に着工の運びとなりました。
 東横線渋谷と代官山間の地下化及び渋谷駅での営団13号線との相互直通運転の実施については2000年1月の運輸政策審議会答申第18号に示されていましたが、2002年2月に東急電鉄は東横線と営団13号線との相互直通運転を発表し、その意義の一つとして東横線地下化に伴う既存線路跡地の活用を挙げ、渋谷駅代官山駅間約1.5kmを2002年4月から2015年3月にかけて地下化し、それに要する工事費は760億円であることも公表されました。
 いわば、東急電鉄は760億円で渋谷駅直結のビル用地を購入したわけですが、その工事費は鉄道施設として減価償却により費用化が可能ですので、非減価償却資産である土地を購入するより有利であることは明らかです。
 また再開発事業には都市再生特別地区制度が活用され、都市計画の特例として容積率の大幅な緩和(渋谷駅南街区は1350%、渋谷駅街区は1560%)が可能となる利点もあります。
 地下化により生み出された東急電鉄の所有地面積を推定しますと、渋谷駅南街区で約7千u、渋谷駅街区で約9千u、合計約16千uのうち、渋谷駅街区内に存在していた東急東横店の敷地推定3千uを差し引けば、合計約13千uとなり、工事費760億円より1u当たりの取得コストは約580万円と推定されます。
 ところで、平成29年相続税路線価図を基にした地価公示ベースの価格を渋谷駅街区約6千uを1u当たり1,700万円、渋谷駅南街区約7千uを1u当たり700万円と推定すると、合計6千u×1,700万円+7千u×700万円=1510億円となり、地下化に要した工事費の約2倍の価値に達しており、東急東横店敷地の有効活用や容積率の緩和の利点も合わせると東急電鉄の保有地の価値は著しく増大したものと思われます。
 一方、渋谷駅街区内の土地の約45%を所有するJR東日本は、埼京線・山の手線ホームの並列化ほか渋谷駅改良工事に東横線地下化工事費に迫る686億円を投ずる予定であり、再開発ビルの持分取得等、共同開発者としての利益を享受するのも当然といえるでしょう。
2018.06.25(執筆者:不動産鑑定士 江沢正彦) 

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